アルパインアイスクライミング 甲斐駒ヶ岳 黄連谷左俣

山を始めたての頃は、聖岳とか仙丈ヶ岳とか、行きたい山の名前ばっかり思い浮かべていた。

相変わらず南アルプスばかりだけど。

クライミングを覚えていく内に、~~岳南稜とか、なんとか沢とか、山のエリアに興味が移っていった。

その中でも行ってみたいエリアに「黄連谷」というのがあって、なんでかっていうと、何となく格好いいからである。

「おうれんだに」って響きがいいよね。私は名前を気にするタイプなのだ。

 

1日目 7丈小屋まで

計画時にいろいろあって、私は別のエリアに行く気でいた。

黄連谷よりも時間のかかる「滑滝沢」というのに行きたかったのである。

久々の登山ということもあって、工程の長い「滑滝沢」はやめになり、「黄連谷」に行くことに。

憧れのあった黄連谷だが、私は簡単だろうなと思っていた。

もっと時間のかかるルートを目指していたので、黄連谷なら簡単だと思ったのだ。

 

雪の少ない登山道を3時間ほど歩くと甲斐駒黒戸尾根では有名な「刃渡り」に到達した。

ここでアイゼンを付ける。

刃渡りは恐怖感もなく、拍子抜けだった。期待しすぎたのだ…。

 

天気はいいのだが冬型が強く風が強い。

7丈小屋も近くなると強風で雪が舞い上がる。光が反射して綺麗だ。

 

テントを背負って登る黒戸尾根は予想以上に辛かった。最近山に登っていないしね。

余裕だと思った7丈小屋まで行くころにはヘトヘトに、なめててごめんなさい。

 

2日目 黄連谷左俣 遡行

翌日は6時前に起床。少し寝坊したので急いで支度する。

下降する予定の6丈沢は思ったより降った場所にあった。

5丈の小屋からのほうが近いのでは?とも思う。

8時には6丈沢を下降し終わり、黄連谷に降り立つ。左俣を目指し遡行開始。

 

左俣出会いは意外と小さい滝で間違えるところだった。

出会いの3段の滝をフリーで登ると、ルンゼ状滝が見えてくる。

50メートル以上はあるので念のためロープを出す。

フリーでも抜けられるだろう。

 

次に現れるナメ滝も60メートル以上ある。

こちらもフリーでも問題なさそう。我々は念のためロープを出す。

 

ナメ滝を過ぎ、少し歩くと左俣の主役ともいえる60メートルの滝だ。

下部は簡単そうだが、中間部が少し立っているように見える。

滝の右側から巻くこともできるようだが、この滝を登らないと左俣に来たとは言えないだろう。

 

滝の中間でピッチを切り、垂直の氷柱を登っていく。

風が少し強く、塵雪崩が起きて鬱陶しいが、なんとか登りきる。

垂直部を抜けた後も意外と気が抜けない。

 

少し歩くと20メートルの滝が現れる。

左側から登ると簡単だろうが、せっかくなので立っている右側から登る。

中断の氷がスカスカで嫌らしいが、落ち着いてトップアウト。

スカ氷が崩れてバイルが抜けかけたときは焦った~。

 

20メートルの滝を抜け、あとは稜線目指して歩いていくだけ。

ルンゼを抜けたときは15時、この後ラッセル祭りとなり、稜線に出たのは18時だった。

こんな遅くまで雪山で歩いたのは笊ヶ岳以来だよ。

 

3日目 下山だけ

最終日は篠沢7丈爆を登る予定だったが、予想以上の長時間行動で我々は疲れ果て、そのまま黒戸尾根を下山することに。

この日は快晴だったので、甲斐駒ヶ岳を目指す登山者が山ほどいた。

黒戸尾根もこんなに人が入るものなんですね…。

 

 


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